避難すべきか
この度の西日本豪雨災害で被災された方に,心よりお見舞い申し上げます。
あれから10日近く経ちました。
私の住んでいる所は広島県廿日市市ですが,あの日(7月6日)は確か午前中から今日は記録的な豪雨の見込みと盛んにニュースで伝えられていました。
確かに昼を過ぎて,夕方に近づくにつれ雨足も強くなり,事務所で仕事をしていた私もさすがに「これはヤバいかも・・・」と思いました。私の自宅の裏は山で,確か「土石流により被害のおそれのある箇所」に指定されていたはずです。このままこの雨の降り方が続けば確実にどこかが崩れる,それが自分の家の裏山かもしれない,と思うと一刻も早く家に帰って家族に避難を促すべきと思い,早めに帰宅することとしました。
しかし,こんな時に限って車のガソリンが少ない・・・。万が一,長期間給油できない状況になっては移動もままならない,と思い,まずはいつも行くガソリンスタンドへ。そんなに混雑はしておらず,まずはガソリン確保。
家に着くと,案の定というか何というか,家の者たちは避難する気,ゼロ・・・。
「逃げよう」と言っても,「え~?」みたいな反応。自分一人で逃げる気にもなれず,しばし待機。雨雲レーダーをしきりにチェックし,何となく強い雨が東(今回大きな被害が出た熊野町や呉市方面)に移動するような気配を感じ,内心(ここは大丈夫かな・・)と思いつつも,避難すべきと主張し続けましたがなかなか動かず。
次第にあたりが暗くなってきて,テレビでは廿日市市全域に避難指示が出てたと思います。そのうち町内会の連絡網で「(危ないと思ったら)市民センター(公民館)が避難場所なのでそちらへ」と電話がありました。それでもまだ避難せず,その電話を次の人に半分笑いながら回す始末・・。
もう,この家族は危機意識がゼロだわ・・と諦めかけたとき,消防だか市役所だかが車で巡回しながら「速やかに避難してください」的なアナウンスを流しながら,我が家の前の道を通ったことで状況が一変。
諦めムードの中,ようやく避難の具体的な行動に移ることになりました。
それでも,近所で避難したのはウチだけだったと思います。
「避難する」ということは,自主的に「不自由な生活へ」移行することであり,特に夜間,今から床に就こうかと思っている人にとっては相当ハードルが高いです。ましてや,一旦寝てしまえば,逃げることなどまずしないし,今回,同じような思いで避難を躊躇し,逃げ遅れた人が多数いたのではないでしょうか。
一夜明けて,幸い大したことがなければ,何か自分たちだけ大げさに行動したことが恥ずかしくなることを避けたいのか,避難することに腰が重いのが今回よく分かった気がします。
災害発生から数日経って被害の全容が見えてきた今になってみれば,あの時やはり避難すべきだったと誰もが思う状況だと思いますが,少なくともテレビやネットの「避難指示」情報ではまるで他人事で,人は全く行動に移らないことが今回よく分かりました。
人を避難行動に移す最も効果的な方法は,第三者に「ここは危ないから逃げましょう」とか,「私も逃げるのであなたも逃げましょう」と個別に忠告してもらうことしかないのではないでしょうか・・・。